用語集

イネイブラー

イネイブラー(enabler)とは、嗜癖その他の問題行動を陰で助長している身近な人のことをいいます。「世話焼き人」などと訳されることもあります。

たとえば、表向きには夫のアルコール問題で悩んでいるように見える妻が、じつはその問題がなければ自分の価値がなくなってしまうために、夫のアルコール依存を陰で助けている場合などに用いられます。

あるいは、子どものひきこもりで悩む母が、子どもをひきこもりから出そうとして奮闘することにより、じつは「よい母をやっている」自分の評価を高めるだけで、ひいては子どもの人生を悪化させている場合などに使われます。

こうした人々は、自分の人生に向かい合うことを恐れ、その分を他人(夫、子どもなど)の世話を焼くことに逃げているために、このような行動をとるわけです。イネイブラーと問題行動の当事者(妻と夫、母と子など)の関係は共依存という人間関係嗜癖の状態におちいっています。

オンラインの英和辞典などにはまだ出ていないこともありますが、治療や自助グループの現場ではよく使われる言葉です。
enable とは、もともと「~できるようにする」という動詞ですが、対象がアルコール依存やひきこもりなどの問題行動を「できるようにする」役割を、自覚しないままに背負っていることから、このように呼ばれるようになりました。