用語集

アルコール依存症

アルコール依存症(アルコールいぞんしょう / alcoholism)とは、物質嗜癖の一つで、お酒がやめられない精神疾患をいいます。
「お酒は、病院で出される薬のように人工的な物質ではないから、薬などのむよりは、お酒のようにもともと自然にあるものを摂取したほうが身体によい」
と考える人もいますが、たしかにお酒は昔から人間の生活にあったものですけれども、一つ確かなことは、お酒はエチルアルコールという立派な薬物であるということです。
病気としては、いわば依存症の代表格で、こんにちの精神医学は、嗜癖AC概念12ステップ自助グループ家族療法などさまざまな分野がアルコール依存症をきっかけとして発展してきました。

昭和時代の歌謡曲に「ちょっと一杯のつもりで飲んで、いつのまにやらはしご酒」という歌詞がありましたが、もしそれがほとんど毎日のように続くならば、その人はアルコール依存症でしょう。ようするに「わかっちゃいるけど、やめられない」の世界です。
飲むべきか、飲まざるべきか。…飲まなかった時に得られるメリットが実感できず、飲んだ時のメリットである酩酊という快感だけが追及されて、飲み進めていくうちに依存症になっていくのです。

進行していくにつれ耐性が強まり、酒を飲まないと手足のふるえ(震顫)、不眠、眩暈、イライラするなどの離脱症状(禁断症状)が出てきます。

はじめ本人は「自分はアルコール依存症ではない」と否認していることが通例です。しかし、重度になると、もはや本人も楽しむためではなく、飲まないでいるときの不快感を避けるために飲酒している状態となり、「酒は、なんとかしなきゃ」と頭の片隅で思っているものです。

このようなときには、自分の意志で酒を断つことがすでに困難な状態となります。そのためA・Aをはじめとした断酒会自助グループ治療機関の助けが必要となってきます。ほうっておけば死に至ります。

また、身近にイネイブラーなど飲酒を支える人が存在するために酒がやめられない場合が往々にしてあります。つまり、環境的に飲酒を続けるところに身を置くことを選んでいるわけです。

酒をやめると、今度は極端に酒に関すること、あるいは酒を飲んでいる人をしつこいほどに排撃しはじめる場合があります。それは、まだ本人にとって飲酒という行為が、世界の一大事であるから起こっているわけで、ドライ・ドランクの状態にあります。

ことのつまりは、アルコール依存症であるかいなかは、その人が飲んでいる酒の量や頻度よりも、酒というものを媒介として、その人がどのくらい人間関係をこわしているかに帰結します。
文化としての飲酒の習慣(習慣性飲酒)と、アルコール依存症の境目は、とうてい一言で言い表すことはできません。考えようによっては、アルコール依存症だという立場からすれば、習慣的飲酒は「否認しているアルコール依存症者」であり、習慣的飲酒を文化の一端として良しとする立場からすれば、「アルコール依存症という考えは、酒をたしなんでいる人も、まったく飲まない人までもアルコール依存症に仕立ててしまう、一種のカルト」ということになります。
結局、目の前の一杯に手をのばすか否かは、その人の人生観に立ち返ってくるのでしょう。