用語集

報酬効果

報酬効果(ほうしゅうこうか / reward effect)とは、嗜癖(しへき)や依存症への傾向が強まっていく要因となる快適な効果のことをいいます。
人は何かをおこなって、それで気持ちよいという体験、すなわち快体験をすると、「これをすれば気持ちいいんだ」と学習して、それを習慣にしていきます。やがて、その習慣に執着するようになると、嗜癖となるのです。このとき「気持ちいい」と感じたことが、そのときその人への報酬効果です。

その始まりとなるのは、乳児のときの母親による適切な摂食や排泄、ならびに母親から与えられる受容と賞賛です。これらが適切であるほど報酬効果は大きく、その後、その子が育ったときに、それ以外の手段で報酬効果を得ようとする必要性も少なくなってきます。
つまり、悪い嗜癖にはまる確率も少なくなっていくと考えていただいてよいでしょう。

その反対、「気持ちわるい」と感じたこと、もしくは不快体験によってもたらされるものを罰効果(ばつこうか / punishment effect)と呼びます。

じっさい大人が日常生活のなかで起こる体験は、多くが報酬効果罰効果が組み合わさって生じています。たとえば、大学に入ってはじめて先輩に誘われて酒を飲んだ時に「おいしい」という報酬効果を得る人はほとんどいません。
顔が赤くなる、心臓はどきどきする、思ってもいないことを口走ってしまう、など不快体験が大きく、それによって後悔するという罰効果のほうが大きいはずです。

しかし、何回かそういう席に誘われているうちに、酒席の華やいだ空気を楽しむようになり、ストレスを発散する術を覚えたり、先輩だけでなく人との交わりを楽しむようになったり、気持ちいい体験をします。これらが報酬効果を持つことになります。