用語集

精神療法

精神療法(せいしんりょうほう / psychotherapy)とは、心の病気や生きづらさを治すためにほどこされる治療の技法のうち、薬物療法などの化学的手段に拠らないで、お互いに話をしたり、身体を動かしたりすることで、患者を苦しめている心の中の世界を変えていく方法のことをいいます。
精神医学の立場からは精神療法といわれることが多いですが、同じ分野をあつかっている臨床心理学の立場からは心理療法といわれ、それらの区別をわずらわしく思う関係者は、英語をそのままカタカナ言葉にしてサイコセラピーなどといいます。
少なくとも、患者もしくはクライエントの立場からは、精神療法・心理療法・サイコセラピーの3つはとりあえず同じものだと思ってよいでしょう。
歴史をさかのぼると、精神療法は、精神分析行動療法来談者中心療法の3つを主要な流派として発展してきました。しかし、現在ではその3つから派生した数多くの療法や、まったく別のルーツを持つ療法をふくめて、どんどん新しい精神療法が年々発表されています。
治療者は怒るかもしれませんが、それはまさに「雨後のタケノコ」のような状況です。

それらすべてが「科学的に根拠がある」かどうかわからないのはもちろんのこと、患者にとって治療効果があるかどうかも、たしかなことは何も言えません。なぜなら、それは「治る」とは何か、という問題にからんでいるからです。

「自分がそれで治ると思ったら信じればよい」と宗教と同じレベルでわりきっている人もいれば、「宗教が精神療法の名を語ってはびこるのはよろしくないのではないか」と疑念を投げかける人もいます。
そこはおおいに議論が盛り上がるところです。

精神療法をおこなう立場の人を精神療法家、サイコセラピスト(psychotherapist)、心理療法士などといい、またその用いる技法の種類によって、家族療法家、行動療法家、精神分析家などと分けるときもあります。
患者は、クランエントあるいは来談者などとも呼ばれます。