リカバリング アドバイザー養成講座

VOL.1  “リカバリング”の意味(第1期修了生 トロ子)

VOL.1 “リカバリング”の意味 (第1期修了生 トロ子)


●リカバリング・アドバイザー養成講座との出逢い

『リカバリングアドバイザー養成講座』なるものを知ったのは、母の四十九日を終えた頃でした。子育て中の人間関係のトラブルから、幼少期の出来事がフラッシュバックし、そこからパニックや外出恐怖がありました。そんな回復途上での、突然の母の死。追い打ちをかける出来事に先が全く見通せなくなりました。そんな恐怖と焦燥感の中で知った、養成講座は、溺れる私の前に現れた、救命ボートでした。


ハイヤーパワーの導きか、私は愛着障害の子どもによく会う仕事に就いていました。斎藤先生には「その仕事があなたを助けて来たんだね。」と言われていました。講座は直接仕事に活かせるものであり、堂々と斎藤先生に浸ることができる、絶好の機会でした。


毎週、長いときは10時間近く、斎藤先生の知識のシャワーに浸ることができました。


空を飛ぶ夢は、何かを達成した時に見るとのことです。それは、言葉を鳥のさえずりのように聞いていた乳児が、あるときそれが言葉として意味を持って理解した時を表していると、先生から聞きました。


●修了認定の意味

養成講座の修了認定は、まさに乳児が言葉を理解する瞬間のような体験でした。言葉のシャワーを浴び続けた時間が、急に意味をなし、意味の洪水が押し寄せてきました。世界を俯瞰することのできる、鳥になったような感覚を味わいました。リカバリングとはこういうことかと、しみじみ実感しました。


先生は今、「パーソナリティは変えられる」とおっしゃいます。自分が自分を恥じていた、誰にも話せなかったような負の過去が、プラスの意味をもつには、当事者として同じ経験をもつ誰かに寄り添うことが何より必要なのだと思います。私は養成講座によって、やっと、当事者としての自分に意味があることを、感じ、それを力にすることができました。先生に自我理想を見せていただきました。


「当事者である」ことは、とても重要なのに、社会生活ではそれを明言する機会もないですし、わざわざ名乗りをあげても何の評価もされません。渦中の子どもに寄り添いたくても、その資格がありません。カウンセラーや、精神科医がどんなに間違ったアプローチをしていても、その資格にかなうわけがありません。これまでは「そんなことをしても悪化するだけ」「どうして彼の恐怖がわからないんだろう」と、悔しさとやるせなさを感じる日々でした。
講座修了は私に自信をくれました。周囲の人が耳を傾けてくれるようになりました。私のアドバイスが、わかりやすく、効果的だと、信頼を得ることもできました。


●卒業後の変化

養成講座を修了する前は、講座修了が不安で仕方なく、「もう必要ありません」と放り出されるような、見捨てられ不安に近いものがありました。自分はどうなってしまうのかと…。ですが、先生は修了後もスーパービジョンの時間を保障してくださり、「まだまだ関係はつづきますよ」とのメッセージを受け取ることができました。


それにより、これまでと同じ環境で働いているのに、自分とは思えないような自信をもって、発言できるようになりました。私が私であった記憶を有益にするためには、斎藤先生の認定と、継続されたスーパービジョンがどうしても必要だったのだと思います。


また、同期受講生の方々と、共に学びあえたことも、多大な力を与えてくれました。自分が抱える問題、フラッシュバック、パニックの恐怖、自傷行為の嗜癖性などが、普通に会話として成立して分析できる関係が、あっていいということが、そのまま自己肯定となりました。ありがとうございました。


回復途上の皆さんが、当事者としての過去をプラスに転化し、経験という資源を埋もれたままにせずに、力としてくれることを願います。