リカバリング アドバイザー養成講座

VOL.4  変化への機運 (第1期修了生 うつのち晴れ)

VOL.4 変化への機運 (第1期修了生 うつのち晴れ)


●患者である自分にも資格がある

最初は「うつ」で斎藤クリニックに通院していました。


数年たって「自分はいつまでこのまま患者として過ごし続けるのだろうか?」という気持ちが、ふと、よぎるようになった頃、この講座の開催を知りました。長い間、「自分に何かができる」という展望が何も持てませんでしたが、それも私の「うつ」の原因だったかもしれません。


受講者の条件が「当事者であることを自覚している専門家」であることを知って、「それならば自分にも資格がある」と思いました。それが自分の一番の特徴だからです。


たしか、受講申し込みの用紙に「あなたはどのようなカウンセラーになりたいですか?」という意味の質問があり「これといった学歴もなく、専門教育をうけた経験も全くありませんが、むしろそれを長所としていかせるようになりたいです。」と、まだ少し捨て鉢な気持ちで書いた覚えがあります。


とにかく、その時は「それ以外に自分ができることはない」という気持ち、それも意気込みと言うよりは、残されただ一つの選択肢を、ただ拾うような気持で申し込みました。


●知識の洪水は、学びであり、治療でもあった

1年という受講期間は、過ぎてみれば、あっという間でした。
最初は、「毎週日曜日」という条件もあり、ちゃんと出席できるか不安でしたが、終わってみれば全日程出席する事ができました。


一番圧倒されたのは、先生の集中力、タフさ、エネルギー、そして今更とも思いますが、先生の知識の豊かさです。世界史の授業を受けているような気分になることもあり、これといった教育を受けていなかった私としては、そういう意味でも新しい知識を得ることができました。


また精神科の診断基準について学ぶにつれ、「自分はこの診断基準のどのあたりにいるのだろうか?」と、自分の事を今までよりは、少し客観的に見るようになりました。


受講中、斎藤先生が「先生と一緒に仕事をする、ということも治療のひとつだ。」とおっしゃったことがあり、この講座を受け、人の話を聴くようになり、先生のスーパービジョンを受けるようになった事自体が、私自身の治療の一環だと思います。


受講生同士は、違う背景の人たちが集まり、最初はそれぞれ戸惑いがあったと思いますが、第一期の修了生となる頃には、すっかりまとまりがでてきました。



●「うつ」は、ただの「ひま」だったのでは?

講座を修了し、今度は聴く側になり、人の話を聴く機会を持つようになると、自分が今まで「自分固有の問題」と思っていたことが、決してそのようなものではなく、多くの人が感じている問題と同じであることに気づきました。


それまでは、自分だけが「可哀想な人」、「損している」ように感じていた、自分の考えの「ひきこもり」に気づきました。


また、やることができて、少し忙しくなってくると、自分の今までの「うつ」が、もしかしたら単に「ひま」だっただけなのではないか、「有り余る時間をどう使えばいいかわからなかっただけ」、「悩むことの魅力にとりつかれていただけ」だったのではないか、という気さえしてきました。


●次のステージの予感

「今後どうするのか?」については、まだ暗中模索中です。
社会経験がほとんどないので、自分に何ができるのかは、よくわかりません。


「患者という子どもの状態」にとどまりたい気持ちもあり、葛藤もありますが、もしかしたら次のステージに移行できるかもしれない、という「変化への機運」も感じています。