用語集

自傷行為

自傷行為(じしょうこうい / self-harm)とは、自分で自分を傷つけることをいいます。

人間を含む生物は、すべて本能的に自分の生命や身体を守るのが本来の在り方と考えられますが、健全ではない世界観を持つように育てられ、生きてくると、自分を傷つけなくてはいられない精神状態になります。
サルやトリなどの動物でさえ、ストレスがたまると、自分の身体にかみついたり、毛を抜いたりしますが、これらは自傷行為につながる行動と考えられています。

英語では、self-injuryと言われることもあります。1990年代まではself-mutilationと呼ばれていました。

自傷行為をする人は、より自分らしい自分を生きたいと願いつつも、コミュニケーションが上手でないために、言葉や絵画などで他者へ表現する方法を取らず、意識的であるなしに関わらず、自分を傷つけることで心の悲鳴を代弁させていると言えます。

自傷行為をする人から見ると、社会の人々は自分とはまったく違った前提のもとに活動をしていて、自分の表現したいものが届かないように見えるため、「どうせ言ってもわからない」という絶望をつねにどこかで抱えているようです。

したがって、自傷行為とは、表現に絶望した人の表現ともいえることでしょう。

辛抱づよく表現のかたちを模索し、壁を突破した結果、やがて優れた芸術家になる自傷行為者が多いのも、そういうことと関係していると思われます。年齢とともに自傷行為が少なくなっていくのも、自傷行為以外の表現手段を見つけていくからでしょう。

自傷行為で代表的なのはリストカットですが、自分の消化器を痛めつける摂食障害、自分の脳神経を痛めつける薬物乱用、自分の頭を打ちつける強迫的行動や、もっと広くはタトゥーやピアスなどもそうした側面があると考えられています。その一方では、似ていて異なる概念として自己犠牲や自殺企図などがあります。