用語集

ハイジ

ハイジとは、アルプスの少女として知られるかわいい女の子の名前ですが、ここではもっとドス黒い業界用語である「ハ・イ・ジ」について説明します。

すなわち、ここでハイジとは、アルコール依存症摂食障害をはじめとする多くの依存症者が、回復の端緒についたときに、訴え始める典型的な症状として「」「」「」のことを指しています。

依存症の最中の患者は、たいていアディクションの対象に振り回されていて、自分の身体などに神経が向かっていません。よく「三度の飯より○○が好きで」「寝食を忘れて」などと、人の嗜好が表現されますが、まさにそのような状態です。ふつう健康な人であればとうぜん感じる身体の異常も察知しません。これを精神分析的には、「エロスが自分の身体でなく、嗜癖の対象へ向かっている」などと表現します。

ところが、依存の対象から切り離れると、多くの場合で「歯が悪い」「胃が痛い」「痔がある」といった身体症状を訴え始めます。

 これは、それらの症状が始まったのではなく、それらの症状に気づき始めたのです。これが、依存なしでしらふな人生を始める第一歩となります。

というわけで、ハイジはアルプスの少女ではなく、回復の入り口というお話でした。