赤ちゃんの舟 活動ブログ

NPO法人JUSTの非営利特定社会事業「赤ちゃんの舟」の活動ブログです。

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JUST日曜講座「赤ちゃんの舟」 11月20日(日)

A.T


  前日の大雨とは裏腹の、よく晴れた初冬の日曜日、私たち参加者は講座開始時刻前のお昼どき、講座の会場になっている「さいとうクリニック」の隣にある網代公園でランチ交流会をしました。子連れ仲間、クリニックでお馴染みの仲間が集まり、開始時刻までゆっくりと過ごしました。その光景を写真に収めれば、タイトルはマネの描いた「草上の昼食」です。クラシックの曲をかければ、完璧に美しい一葉になるでしょう。

 でも、会話の内容が聞こえてくると、急にミーティング然とします。少なくともその場で私が話したことは、息子が小さかった頃、自分が食事をとるとき必ずベビーベットに入れていたことや、ベビーベットから息子が出てくるようになると、真剣に柵つきの犬小屋を買う気になったことを話しました。しかし、当時、私のマンションには月1回に保健師さんの家庭訪問があり、そんなものを家の中に置くと驚かれると思ってやめたのです。息子がかわいそうだからやめた、とならないところが我ながら複雑です。私の知る日本人社会は、まず他者を優先した会話の仕方を心掛けないと、評価が下がります。私自身もクリニックの場以外で「私ね、私が一番大事。他の人は二の次」と断言する人と話すときは警戒します。でも、反対に、私は二の次、だれかが一番と強調する人にも不信感を持ちます。母親はこどものためなら何でもすると、ときどき聞きますが、そう見えるだけだと私は感じます。

 私は十代の頃から、小説や映画が好きでした。作品のいくつかを読んだ作家のひとりが三浦綾子です。でも、『氷点』をはじめ、何冊か読んで具合が悪くなり、読まなくなりました。『塩狩峠』については不可解きわまりなく、今でも主人公のメンタリティが謎です。歴史上、この主人公のような人は知っているだけでも何人かいて、例えば、イエス・キリスト、ユダヤ人をかばって銃殺されたコルベ神父、ユダヤの子供たちを守ってガス室に入ったコルチャック医師などです。奇特な人たちだとは思うけれど、私には不可解です。
 小説『塩狩峠』では、主人公が峠で脱線しかかった列車の下敷きになり、乗客を救う物語です。私にもそうなれ、とだれも言ってないので、逃げ腰になることはないはずですが、もういやだ、というのが本音です。

 善意が嫌いなのではありません。人の善意を私はむしろ信じたく、だからこそ、嘘に敏感になるのだと思います。
 現代日本で子育てする母親代表気分で主張したいことは、母親の育児能力が下落したと批判する余裕があるなら、30分でもいいから、こどものそばにいて、母親を母親役から解放してあげて、ということです。

 今回のランチ会には男性メンバーが手伝ってくれたおかげで、私たち母親はマダムに戻り、悠然と昼餐のひとときを過ごせました。
さて、DNAの都合で、私と同じ顔で生まれた息子はパパと相性が良く、単身赴任で遠くにいるパパを恋しがっています。その原始的な恋しがり方には、いろいろなものを押し分けて進もうと頑張る私がひるむ、本物の気配があります。やがて、この子も私のようになるという深い恐怖から、ちゃんと殺してあげなきゃ、と思い詰めることは少なくないです。子供と2人で見つめあうとそうなることはわかっているので、私は怒鳴り散らしそう、という瞬間に窓を開けてわめきちらしています。横浜に住んでこの3年間、一度も児童相談所、市役所、そのほか、だれも注意に来ません。大家さんからの苦情すらないです。たぶん私たちが不在どきの昼間に来ているのかもしれません。

 息子は私がわめき始めると、自動的に眠り始めます。息子が靴下をまだ履いていないといったような、はたからみればささやかなことを、なぜあれほど真剣な大音量で私は伝えているのか、だから、子育てがいやなんだ、と憤然とします。私たちは母親になる前、現代教育を受けて自由に過ごしてきた世代です。メディアの煽りにのって、無味無臭の美しさを目指すよう、様々な商品を消費し続け、そして、母親になりました。何という落差でしょう。

 私はトイレが怖い、という理由で、息子のトイレトレーニングに近寄りませんでした。だれがするんだろう、と思いながら、保育園の先生に相談したら、私たちに任せて、ということでした。お母さんは安心して精神科にいきましょうと励まされ、おかげで通院を続けることができました。
 その保育園に入園するために、私は入園申請前、さいとうクリニックのメインプログラム、「さいとうミーティング」の場で泣きながら誰が息子のトイレトレーニングをするのでしょう、と訴え、育児に無能だと役所に私の診断書を持って行けと指示があり、ちょっとプライドにさわるけど、トイレに近寄らずにすむのならプライドなど地の果てに捨ててこよう、と思うほど恐怖に支配されていたため、私は横浜市の役所に、本当に診断書を片手に、「育児に無能だと言いに行きなさい、と精神科の先生からこれを渡すよう言われました」と初対面の保健師さんに役所のカウンターで自分の診断書を渡しました。無言で受け取られ、こっちに来てと中に招かれ、その後、待機児童日本一の横浜市立保育園への入園許可書が届きました。私より重症な人がまだまだ大勢いそうなのに、私たち母子に入園許可が出たのが意外でした。きっとたまたまだわ、と今でも思っています。

 私が特殊な母とは思えません。本音トークは、ときに大喧嘩に発展しがちなため、なでさすりあうような会話は必要です。でも、私たちは、網代公園でランチ会をしながら、馬鹿さかげんをおしゃべりできます。
 来週、11月27日(日)には、産婦人科の北直子先生が講師をお務めです。講座の前には、網代公園でまたランチ会をします。子連れのお母さんに限らず、ランチしましょう。どうぞ、お越しください、正午過ぎに、お目にかかりましょう!

赤ちゃんの舟ミーティング(2011年10月16日)より、
仲間の体験談を動画でお届けします。
昨日アップロードした記録の続きです。
 
 
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