東日本大震災 被災者支援 特設ページ

東日本大震災 被災者支援特設ページ


2012年度活動報告



JUSTでは、2012年度上半期(4月~9月)は赤い羽根中央共同募金会第6次助成よりご助成いただき、昨年に引き続いて宮城県南三陸町戸倉地区の復旧・復興のお手伝いをさせていただいております。




私たちJUSTが戸倉地区に2011年度に建設したコミュニティスペースは、その後も地元復興支援団体ラムズ(Lamb’s)に運営をお願いし、戸倉のみならず南三陸、あるいはその近辺の方々のコミュニティスペースとしてご活用いただいております。

戸倉地区地図





活動ブログはこちら……「いのちとうみの語り」




津の宮棟「戸倉の小屋っこ」


 津の宮に建設した「戸倉の小屋っこ」は、戸倉地区ぜんたいの仮設住宅入居者と在宅避難者のかたがたを結ぶコミュニティスペースとしてご利用いただいています。「戸倉の小屋っこ」の中では、自分たちの力で復興をめざす各仮設住宅のお母さんたちが手作りした工芸品なども売られています。


波伝谷棟



 波伝谷棟は、地域の漁協青年部研究会の皆さまの集会所としてご利用いただいています。





 おかげさまで、本コミュニティスペースの利用者数は、開所以来3か月強で1000人を超えました。
下の一覧表は、コミュニティスペースへのニーズがとりわけ高かった初期のご利用者数を仮設地区別・在宅別などに集計したものです。(集計:ラムズ)



 2012年4月3日、日本海で「爆弾低気圧」が発生し、季節はずれの台風のように東日本の広い範囲で被害をおよぼしました。海風が強く吹きつける場所に立っていた「戸倉の小屋っこ」も甚大な存在を受け、横に燃料置き場として立ててあったテントはつぶれ、小屋の横に備えられていた倉庫は扉が吹き飛ばされてしまいました。


 そこで、新しい頑丈な倉庫を購入し、小屋っこの裏側に設置しました。設置に際しては、少しでも現地の経済復興に資するように、現地で被災したご企業に発注しました。



 こうして、現地のさまざまな団体との連携活動が続いています。
 心のケア、すなわち精神保健やメンタルヘルスと言われる領域の活動は、東京などの大都市部ではカウンセリングルームがあり、また精神科医療機関も多いために、アクセスもしやすく、なじみの深いものになっていますが、当地のような村落部においては、事情は大きく違います。
 それを看板に掲げて真正面から迫っていけばよいというものではありません。
 そこで、さまざまに異なった機会を設けて、心のケアを必要としている被災者の方々から、そのニーズを引き出すことが、心のケアそのものの前段階として必要となります。
 それを私たちは以下のようにおこなっています。


 現地で活動するメンバーは、赤い羽根中央募金会からの助成資金で活動するJUSTのボランティア・メンバーであることが、住民をはじめ皆さまにわかるように、当該地区、南三陸町内、近隣の地域(登米市、気仙沼市など)にいるときは、いつでもこのような名札を首から下げて活動をおこなってきました。



住民交流の促進


高野山真言宗足湯隊とのコラボ活動


 過去に複数の災害地で心のケアの経験を積まれてきた高野山真言宗足湯隊の皆さまは、今回の発災直後から当地に入り、足湯を中心に被災者の方々の心と身体のケアに尽くしてこられました。足湯で身体がほっこりとすれば、心もほっこりとする。堅くなっていた心も和らぎ、鬱積していた感情も言葉に出しやすくなる。……そのようなことを、宗教者のお立場から、経験的に知り尽くしておられ、それゆえに現地の住民の皆さまからも厚い信頼を培っておられます。

高野山真言宗とのコラボ活動



 宗教も精神医療も、目指すところは同じです。私たちJUSTも高野山真言宗足湯隊の方々の末席につらなって、現地の活動でコラボさせていただいております。

これらの必要物資はみな赤い羽根中央共同募金会によってまかなわれています。





グループワークの実施


東北会病院



医療機関 東北会病院(仙台)
メンタルヘルス専門機関
株式会社IFF(東京)

との協働、そしてまた

町の保健福祉行政
気仙沼保健相談所
社会福祉協議会

との連携を通して、

私たちJUSTは、なおかつ民間団体ならでは強みを生かして、専門機関や現地行政が入っていけない奥深い領域にまで被災者のかたがたの間に入っていき、状況の変化にともなってその時々に「にじみ出る支援ニーズ」を掬い取ってまいりました。



◆ 支援員さんたちのグループワーク

 私たちが戸倉地区の心のケアを行うのに重視していることの一つは、「支援員さんたちの支援」です。
 支援員さんは、自らが被災者でありながらも、現地住民の方々の安全安心の確保と、復興への意欲醸成を図るために、志願して仮設住宅や在宅避難者のお宅を回っておられます。





 私たちは東京で、主に自助グループ活動をつうじて、心的外傷に悩む人々の心のケアをおこなっていますが、大きな都市においてはアノニマス・ミーティングと言って、参加者が実名を隠し、持っている問題の類型だけによってつながりあうミーティングが開かれています。
 しかし、当地のような村落部では、絶対人口が少ないうえに、皆さまほとんど幼なじみであり、大都市部におけるミーティングの手法がそのまま使えるわけではありません。


支援員さんたちの支援




 そこで、これらのミーティングは、東北会病院の指導のもと、アノニマス・ミーティングでもなく、治療ミーティングでもなく、自助グループでもない、独特の方法で運営されています。それは、現地で活動する人々や、支援員さんたち、保健相談所のかたがたの真摯な模索の上に成り立っているものです。


グループ・ミーティングの様子




 ときには、重篤な事例に関してロールプレイがおこなわれ、いかに効果的に状況に対処するかが、皆で検討されます。


事例ロールプレイ













2012年度下半期(10月以降)も、JUSTでは引き続き宮城県南三陸町戸倉地区を拠点として南三陸町の復旧・復興のお手伝いをさせていただいております。

活動ブログはこちら……「いのちとうみの語り」






 小屋っこ移設のときの映像記録は、下からごらんいただけます。日本では珍しいUBC工法のための、建築学的参考にもお役立てください。




◆ 被災者の側に立った情報発信


 発災後1年半経ち、もはや物資供給の支援フェーズではありません。被災住民の方々に、
「いま、支援者に何をいちばん望んでいますか」
とお聞きすると、
「私たちの状態を忘れないでほしい」
という答えがたいへん多く聞かれます。

 日本社会全体では、すでに東日本大震災が「過去のできごと」になりつつあり、一般の国民の震災への意識は薄らいできています。

 こうしたことが、被災地に生きる人々のあいだでは、つらいことであるのです。

 そこで私たちJUSTでは、活動ブログ「いのちとうみの語り」を発災後1年半から作成し、被災地と関係がなかった人々にもよくわかるように心がけながら、南三陸町戸倉地区の情報を発信しています。

 戸倉の方が戸倉の情報を発信するだけでなく、東京の人間が戸倉の情報を発信することで、少しでも人々の目を戸倉に、そして被災地に向けていただき、東日本大震災を忘れず、被災者の方々の体験を無駄にしないようにするためのささやかな試みです。















 私たちJUSTは、要因こそ異なっていても、トラウマを生き延びてきたサバイバーです。同じサバイバーである被災地の方々のために、私たちにできることをさせていただきたいと願っております。